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2025

Hello 2025!

By Shiro Arai, CEO

こんにちは。Younode 代表の新井です。 2025 年の冒頭に、昨今のビジネス環境を振り返り、来たるべき未来に対する当社の基本的な考えを紹介したいと思います。

これまで

おかげさまで当社は創立 7 年目を迎え、これまでに様々なチャンジをしてきました。創業時には分散型のパーソナルデータストア(現在はサービスをクローズ)をリリースし、汎用的なデジタル ID のようなものを目指していました。今考えるとかなり野心的なプロジェクトだったと思います。今の Apple ID がそれに近い思想を持っていて、まさにそれによりサービスをクローズしたともいえます。現在では、聴いてる曲をシェアしてつながる音楽 SNS、NFT プロジェクトや生成 AI を活用したプロダクト、そして多くのご縁があって様々なクライアント企業のプロダクト開発支援を行っています。

近年の環境の変化

なんといっても AI の進化は言葉にならないほど驚天動地な出来事といえるでしょう。わたしたちは、2023 年 4 月に GPT-3.5 を使って、LLM を使った最初のプロダクト Retro Tracks を開発しました。その後もクライアント企業の開発支援を通じて、Claude や Open AI の API を使ったプロダクトをつくってきました。昨年は特に、ソフトウェア開発そのものが AI によって飛躍的に進化しました。今年も多くのツールがリリースされ、できることも日々進化していくでしょう。ソフトウェア領域に限らずこれまでの予想を遥かに超えたスピードで進化し、AGI(Artificial General Intelligence)や ASI(Artificial Super Intelligence)の実現は疑いようのない事実になりつつあります。そのような環境下で昨年はわたし自身の生き方そのものを見つめ直すタイミングでもあり、そして人類そのものの未来について思索を深めることが多くありました。

来たるべき未来

足下のソフトウェア産業においても、わたしたちは、望む望まないにかかわらず大きくビジネスモデルを変換することになるでしょう。これから開発するプロダクトは AI ready な実装が当たり前になり、それは AI agent などと呼ばれているようです。さらに開発工程そのものも大きく変わり、単なるコーディングスキルはコモディティ化するでしょう。というよりは多くの部分が AI に置き換わるでしょう。開発者の役割も大きく変わります。すでに当社では、フロントエンドエンジニアやバックエンドエンジニアなどの呼称はもう廃止する必要があると考えており、チーム内でもそのような共通認識を共有しています。広範で基礎的なビジネスドメインの理解と、プロジェクト管理やステークホルダーとのコミュニケーションの比重がより大きくなります。また、幅広い専門知識と、システムをデザインし統合する能力も重要です。動くソフトウェアを作るための要件定義能力についてはこれからも重要なファクターとなるでしょう。

伝統的にソフトウェア開発は「開発を依頼する人」と「作る人」に大きな隔たりがありました。これは、開発を内製化していたとしても同様です。ソロプレナーという言葉も出てきたように、これからは、「作りたい人」が自分でササッと開発してしまう能力を身につけていく流れも加速するでしょう。「作りたい人」が自分でシステム要件を決めることができ、さらに開発自体もできることが、もっとも開発スピードが速いといえます。逆に言うと AI 時代でもここのギャップを埋めることができなければ、これまでと同じ課題や問題は依然として残ったままになるでしょう。

起業家にとっては、これほどなんでもできる時代はありません。これまでより多くのプロダクトを自分の手で開発でき、いろいろな施策を試せる時代になりました。多くの企業が SaaS からフルスクラッチ開発に戻るかもしれません。この 20 年ぐらいは SaaS への転換が大きな潮流でしたが、SaaS は基本的にカスタマイズするか、できたものに業務フローをあわせる必要ありました。これからも、勤怠や労務など、どの組織でも同じような運用をしている分野では SaaS の方がコストパフォーマンスが高いですが、管理会計のような会社組織ごとに大きく運用が異なるようなものは、もしかするとフルスクラッチ開発が適しているかもしれません。そして会社の数だけ SaaS が生まれるような世界もあり得るでしょう。

人類の未来への貢献

AI が自然に実装された世界はまだまだこれからです。今存在しているオフィスワーカーの仕事の大部分が影響を受けるのは確実ですが、歴史を振り返ってみると仕事が無くなるどころか、むしろ一人ひとりのやるべきことは増え、さらに高度化する可能性があります。インターネットの登場時も多くの作業が省力化されると見られていましたが、今見渡してみると多くの人が多忙を極めているようにみえます。わたしが仕事を始めたころには、1 人 1 台 PC が与えられ、インターネット環境も当たり前の時代でしたが、その昔には、提案内容を模造紙に書き起こす役割の人がいたと聞いたことがあります。それが今では営業パーソンがパワポで自ら作るのが当たり前です。すなわち、1 人の人間があれもこれもこなす必要があり、求められるアウトプットの期待値も劇的に高まっていくことが予想されます。

AI が多くのことをこなしてくれる中で、人間の存在意義について思い悩む人も多いでしょう。私もその 1 人でした。しかし、様々な文献を読んだり、実際に AI を使いこなしていくうちに、少しずつ人間の役割について見えてきたことがあります。

  • 人間には意識があり、何かを志向する
  • 人間は今ないものを想像し、創りあげる
  • ”誰"が、というユニークな個人は置き換えできない

はからずも、当社のサービスPULPでは、ユニークな個人が気に入った曲を紹介して音楽を発見する新しいソーシャルメディアです。わたしを含めた当社のスタッフがキュレーションしたプレイリストも毎日配信しています。AI のレコメンドもそれはそれで素晴らしいものですが、「あの人」の紹介したものから音楽を発見することは、また趣の違った楽しみとなると考えています。

2025 年も当社は「オルタナティブを創造する」をミッションに、新しい価値を創造していきます。 AI の驚異的なパワーを手に入れて、何ができるのか今まで以上にワクワクしています。スモールチームながら、世界にインパクトを与えるようなサービスやプロダクト開発を通じて人類の未来に貢献していきたいと考えています。